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とんかつ道コラム

思わず誰かに話したくなるような
とんかつへの愛に溢れる情報を発信していきます。

「日本の豚博士」による傑作

日本の豚博士 桑原康さん。獣医師でもある
日本の豚博士 桑原康さん。獣医師でもある

 「LYB豚」は「エルワイビーぶた」「ルイビぶた」と読み、「ルイビトン」とは読みません(笑)。正確には大人の事情により読めません(苦笑)。「セレ豚」は「セレぶた」ではなく「せれブー」と読みます。

 と、洒落っ気たっぷりのネーミングですが、ウケを狙ったマーケティング先行の銘柄豚かというと、とんでもない! 実のところは、豚の美味しさを追求して緻密に計算され尽くされた配合による豚なのです。

 この豚を生産されている方こそ、日本の養豚業界の第一人者、富士農場サービスの桑原先生です。養豚業界では、桑原さんのことを知らない方は居ないといっても過言ではありません。世界の六大品種「ランドレース(L)」「大ヨークシャー(W)」「中ヨークシャー(Y)」「バークシャー(B)」「デュロック(D)」「ハンプーシャー(H)」全ての品種が揃っているのは、世界でも桑原さんの農場だけということからもそのすごさは分かるかと思います。

 桑原先生は「豚の美味しさは血統で半分以上が決まる」という想いから、さまざまな血統の品種開発に取り組まれています。先ほどの六大品種だけでなく、ハンガリーの国宝「マンガリッツァ種」や中国の「民豚」、これらを掛け合わせた血統、さらには純粋種などを生産、まさに「日本の豚博士」的存在です。

 「LYB」の「Y」は中ヨークシャー。「昔の豚は美味しかった」よくこのような声を聞くのですが、実は戦後は中ヨークシャーが中心で、日本人になじみの味が「Y」なのです。中ヨークシャーは、抜きん出た美味しさながら生産性が低いため、現代の日本ではほぼ淘汰されてしまっていますが、美味しさを追求する桑原さんが「Y」の美味しさを豚肉好きに伝えようと生産されたのが「LYB豚」なのです。「Y」の味こそ、おそらく日本人の遺伝子にすり込まれている豚肉の味と言っても過言でありません。

左が「LYB豚」、右が「セレ豚」
左が「LYB豚」、右が「セレ豚」

甘さに満ちた女性的な「LYB」とは対照的な「セレ豚」は、血統構成が全く異なります。満州で戦前から伝わる希少品種「民豚」にランドレースや大ヨークシャーを掛け合わせてできた豚が「セレ豚」(せれブー)です。こちらもネーミングから来るイメージとは裏腹に、とても男性的でパンチの強い濃厚な味が特徴です。そしてもう一つの特徴が脂身の融点の低さ。LYB、Y純種ですら融点が32℃なのに対して、セレ豚の融点は30℃。男性的な濃厚な赤身が特徴で、脂身の融点はなんと30℃。一口ほうばればあっという間に溶けてしまいます。とろけるようなうま味をお楽しみいただけます。

対照的な味の「LYB豚」「セレ豚」。ご家族などでシェアしてもお楽しみいただくのも一興かもしれません。

「LYB豚」上ロースかつ&ミニひれかつ定食
「LYB豚」上ロースかつ&ミニひれかつ定食
静岡県富士宮市、富士山の裾野に広がる富士農場
静岡県富士宮市、富士山の裾野に広がる富士農場



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