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とんかつ道コラム

思わず誰かに話したくなるような
とんかつへの愛に溢れる情報を発信していきます。

料理には「味」「香り」といったフレーバー、いわば化学的な美味しさと、「食感」というテクスチャー、つまり物理的な美味しさの両面があります。そして、それはとんかつにおいても同様です。「やまの華豚」はフレーバーはもちろんのこと、サクサクとして、抜群に美味しい食感をお楽しみいただけます。それは「デュロック純粋種」という血統と、そのポテンシャルを最大限に発揮すべく、研究を重ねてきた方波見さん父子のこれまでの努力の結晶なのです。

方波見牧場2代目の方波見真人さん。日々情熱を持って養豚に取り組まれている。

「デュロック純粋種」の「純粋種」とは、そもそもどのような特徴があるのでしょうか? 純粋種と対を為すのが「三元豚」など数種類の血統が掛け合わされた豚です。「三元豚」などの場合は、3つの違った血統を掛け合わせることにより、互いの弱点を補い合い、それぞれの良さが強調されます。いわば「良いところ取り」をして、欠点の少ない豚を作り出すことが、繁殖の基底となる考えです。

それに対して、弱点はありつつも、良い点を徹底的に追求、深く掘り下げていくのが「純粋種」ということになります。

茨城県鉾田市で、方波見真人さんが育てる「やまの華豚」は、日本では食肉として流通するのが珍しいデュロック純粋種です。日本ではLWDの三元豚が8割前後を占める訳ですから、日本の豚の大半にはデュロック(D)の血が50%入っているのです。それなのにデュロックの純粋種が極めて珍しいのはなぜでしょうか?「繁殖性が低い」「筋肉質になりがち」だからなのです。しかしながら、方波見さんはデメリットをうまく活用する逆転の発想で、欠点をうまく生かされているのです。「繁殖性が低い」ということは、一度に生まれる兄弟の頭数が少ないということになります。話は少し変わりますが、豚は一般的に生まれるとすぐに尻尾をカットされます。一般的にはストレスで互いの尻尾を齧りあい、そこから雑菌が入り出荷ができなくなるため、尻尾がカットされてしまうのです。

方波見さんは、生まれてきた豚を兄弟毎に居住スペースを分け、他のグループと交わることがないようにしています。兄弟同士では喧嘩することはまずないからです(人間とは違いますね、笑)。それによりストレスも減り、心健やかな時間が暮らせるようになるのです。兄弟が多いと難しいこともありますが少ないからこそできるポイントと言えます。

兄弟で肌を寄せ合いながらの昼寝。気持ちよさそうに寝ていますよね。

また、筋肉質であるという点も歯ごたえの良さ、テクスチャーとしての美味しさに変換されています。一定方向の繊維がしっかりしているので、とんかつにした時の触感がサクサクとしているのです。「コロモがサクサク」という表現は数多くあれど、肉質がサクサクというのは唯一無二ではないでしょうか? 味、香りはもちろんのこと、触感の美味しさも放牧デュロック純粋種の大きな特徴です。

デュロックの種豚(雄豚)。筋骨隆々としていて、デュロック種の逞しさが伝わる。

純粋種というのは、「血が濃くなり過ぎる」という点で非常に繁殖が難しいと言えます。豚の血統は雄豚と母豚から決まるわけですが、この「母系の血」は一朝一夕には積み重ねられません。種豚は購入さえすればお金で解決できますが、母系において優れたファミリーラインを形成するには長い年月が必要なのは、サラブレッドなどと同様です。方波見牧場においても、方波見さんのお父様の代から40年に渡り、ベストな選択を重ねられて、今があるのです。その血を大切に紡ぎ、子豚をストレスなく育てて初めて、「やまの華豚」が完成されるているわけです。

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