「手塩にかけた塩」
「手塩にかける」とは、大辞泉によれば「みずからいろいろと世話をして大切に育てる」とあります。
「手塩にかけた娘」といえば、目に入れても痛くないほど自らの手で育て上げた子どものことを指すように使います。ですが、そもそもなぜ「手塩」なのでしょうか?
諸説あるようなのですが、昔、手作りで塩を作っていた頃はそれはそれは手間のかかる大変なことであり、そう言われるようになったとも言われています。
黒潮源流塩
その塩を、昔ながらに最初から最後まで手作りで塩を作る職人がいます。tonkatsu.jpでも提供している「黒潮源流塩」をつくる、与那国海塩の杉本和将さんです。
与那国島は日本の最西端、台湾までわずか100kmほどに位置します。黒潮源流塩は、まさに黒潮のど真ん中、大陸からも離れています。そのため、まったく汚染されておらず清浄な海水だけを原料として作られています。海水を舐めてみるだけで、日本の他のエリアの海水とまったく違うことが分かります。雑味がなくまさにピュアな海水で、それだけで美味しいと言っても良いほどです。
「丁寧に薪で焚き、釜を磨き上げる」を10日間繰り返す
その最高の素材に真正面から向き合い、最高の塩に仕立てているのが、杉本和将さんです。
杉本さんは驚くほど手間暇をかけて塩を炊き上げています。毎日、平釜に薪をくべては丁寧に海水を炊きます。そこで生じた錆を取るため、一旦海水を取り出し、釜を数時間かけて磨き上げます。明くる日も炊いては磨き、その次の日も炊いては磨き、それを10日間ほど休みなく繰り返します。こうして、真っ白でピュアな黒潮源流塩ができあがるのです。
塩作りへの徹底したこだわり
同業者の方からは「なぜこの時代にそんな面倒をかけて塩を作っているのか?」と問われるそうです。杉本さんは先代から受け継ぎ、塩を炊き始めて7年目になります。毎日毎日、釜の状態、気温、風の状態で塩がどう変わるか、A4ノートがびっちりになるくらい書き留めていたそうです。それを蓄積した今では、手間をかけただけ、美味しい塩ができあがることを知っているのでしょう。徹底的にこの作り方にこだわって塩を作られているのです。
今では黒潮源流塩の虜になった全国の料理人や個人ユーザーも全国に広がっています。フレンチの三つ星シェフもいらっしゃるようです。生産が注文に間に合わないほどだそうですが、その期待に応えるため今日も丁寧に薪をくべます。そして釜を磨き上げ、釜と対話をして、「おいしくなあれ」と気を入れながらお塩を炊かれているのだと思います。
この黒潮源流塩も、もちろん豚肉もパン粉も、生産者の方々が想いをこめて作った素材です。
tonkatsu.jpは美味しいとんかつに仕上げ、その背景もお伝えすることこそ、我々の使命と考えております。
お店にお越しいただいたときは、そんな生産者のみなさまに想いを馳せながらとんかつを召し上がっていただければ、これに勝る喜びはありません。